【コラム】理念と実践のディスタンス――長谷川あかりさんの葛藤を我がこととして考える

料理家・長谷川あかり氏の投稿を読み、考えさせられました。

「ご自愛」や「自分のための料理」を伝えようとしてきた一方で、整ったレシピを発信することが、かえって「丁寧な暮らし」のハードルを上げることに加担しているのではないか、そんな葛藤がつづられていました。

私は、大袈裟ではなく、長谷川氏の本音の吐露に心を動かされました。

理念を掲げることはできますが、「いま自分がやっていることは、その理念に沿っているだろうか」と問い続けることは簡単なことではありません。

これは料理家に限った話ではありません。どのような仕事にも起こり得ることです。マーケティングでも、研究でも、行政でも、政治でも、本来は社会や人のために始めた仕事が、いつの間にか、その理念とは異なる方向へ物事を動かしてしまうことがあります。

厄介なのは、目の前の仕事に真剣に取り組み、成果を積み重ねようと努力するほど、その活動が本来掲げていた理念から少しずつ離れてしまうことがある、あるいは、理念を実現しようとしているにもかかわらず、結果として理念とは逆の方向へ作用してしまうことさえある、ということです。

私自身も、ご依頼者のマーケティング課題に向き合うときや、記事を執筆するとき、「本当に実現したいことは何か」という目的はもちろん、その奥にある「何のために、この仕事をするのか」という理念を見失わないようにしたいと、改めて思いました。理念があるから目的が定まり、目的があるから戦略が生まれ、戦略があって初めて手段を選ぶことができます。日々の実務に没頭していると、手段のことばかりを考えてしまいがちです。

夏の暑さが本格化するこの時期、冷えた麦茶を片手に、自分の仕事が理念に照らして本当に進むべき方向へ向かっているのかを、ゆっくり問い直してみたいと思います。

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〈備考〉

冒頭の画像は、私(鈴木雄高)が2026年6月4日に、長谷川あかり氏のレシピを参考にしてつくった「焼きそば」です。もやしたっぷり。

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