【コラム】コルトンプラザのダイエー(閉店)とイオン(開店)

今年(2025年)の3月7日、イオンリテールが以下のようなニュースリリースを出しました。

イオンリテール株式会社は2025年10月1日、株式会社ダイエーが運営する「ダイエー いちかわコルトンプラザ店」を承継します。

出所:イオンリテール株式会社 ニュースリリース(2025年3月7日)「ダイエーいちかわコルトンプラザ店の承継に関して」https://www.aeonretail.jp/pdf/250307R_1.pdf

このニュースは、多くのコルトン・ユーザーに衝撃を持って受け止められました。市川市に拠点を置く当研究所も同様です。その日のうちに、コラム(と銘打っているものの、衝撃のあまり、コラムの体裁を保てていませんが)を公開しました。

【コラム】ついにこの時がやって来た~コルトンプラザのダイエーがなくなる日~

久しぶりに「コラム」を書こうと思います。 といっても、市川マーケティング研究所の代表は、ここではないどこか※1,2でコラムを書いてはいるのですが。 さて、今日は、多…

ニュースリリースの発表後、しばらくして、「ダイエー いちかわコルトンプラザ店」が2025年8月31日に閉店することが明らかになりました。店内には、ユーザーがメッセージを書いて貼り付けることができるボードが用意されていました。

出所:ダイエーいちかわコルトンプラザ店で筆者撮影(2025年6月12日)。

上の写真は2か月ほど前に撮影したもので、この頃と比べると、メッセージ数は大幅に増えています。貼り付けるためのボードの枚数も2倍か3倍、あるいはそれ以上に増えているはずです。

「ダイエーいちかわコルトンプラザ店」の歴史について、都市商業研究所さんが、わかりやすく説明していたので、紹介します。

イオンフードスタイル実験店となったプランタン

ダイエーいちかわコルトンプラザ店は、ダイエー直営百貨店業態「 ダイエーいちかわプランタン」として開業。
いちかわプランタンは、ニッケコルトンプラザの地域密着路線に歩調をあわせ、百貨店と総合スーパーの中間業態といえる売場を展開。1997年10月に大規模リニューアルを実施するが、2000年3月のプランタンとの商標使用契約解消(ダイエー直営店のみ/なんば・新さっぽろはカテプリに転換)に先駆けて現在の屋号に改称していた。
その後、2014年9月閉店のイオン系高級食品スーパー「ピーコックストアニッケコルトンプラザ店」跡を統廃合するかたちで、同年11月に「食の総合専門館「フード・スタイル・ストア」業態確立に向けた第一歩」となる増床リニューアルを実施。
食品フロアでは直営自然派商品専門店「Botanical Shop(ボタニカルショップ)」といった同社初の取組みや量り売り惣菜「D’s Selection」、イオンと提携関係にある外資系冷凍食品スーパー「Picard」コーナー導入、衣料住居関連用品フロアでは「コンテナストア」「D.TRIP」「BIZ.COM」といったMD施策を打ち出すなど、従来型総合スーパーからの脱却を図った。

出所:都市商業研究所「都商研ニュース|イオンリテール、ダイエーいちかわコルトンプラザ店を2025年10月1日承継-市川プランタン前身の『イオンフードスタイル』実験店」(2025年3月11日)https://toshoken.com/news/29589

ニッケコルトンプラザが1988年11月25日にオープンした当時、株式会社ダイエーが営んでいた店舗は「いちかわプランタン」でした。プランタンの店舗が撤退してから、かなりの年月が過ぎましたが、いまだにコルトンプラザをプランタンと呼んでいる人がいることを知っています※1

ダイエーが、多層階の大型店、いわゆる総合スーパー業態から、徐々に食を中心とした中型店、スーパーマーケット業態(食品スーパー業態)へと遷移する中においても、総合スーパー業態のダイエーいちかわコルトンプラザ店は(ダイエー新浦安店が早期にイオンに転換したのとは対照的に)ダイエーのままでした。

しかし、株式会社ダイエーが管轄する店舗は、今後、西日本の店舗は自社で引き続き運営するのですが、東日本の店舗を運営するのは、イオングループのスーパーマーケット業態を営む複数企業からなるユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(USMH。カスミ、マルエツ、マックスバリュ関東、いなげや)に変わる可能性があります※2

筆者は、東日本のダイエーのうち、スーパーマーケット業態の店舗は恐らくダイエー(グルメシティ、フーディアムなどの屋号の店舗を含む)の店舗名を維持したままUSMHに加わり、総合スーパー業態の店舗はイオンリテールに管轄に変わり、屋号はイオンになるのだろうと予想しています。

冒頭の画像は、ダイエーいちかわコルトンプラザ店のウェブサイトおよび、イオンリテールのウェブサイトに掲載されている画像を引用、加工したものですが、ここにあるように、「コルトンのダイエー」こと「ダイエーいちかわコルトンプラザ店」は、「イオンスタイル市川コルトンプラザ」(または、「イオンスタイル市川コルトンプラザ店」)に変わるはずです。

店舗を管轄する企業が、株式会社ダイエーから、イオンリテール株式会社に変わり、屋号(店舗ブランド)も変わります。イオンスタイルとは何か?については、本稿では説明しませんが、イオンリテール株式会社が管轄する総合スーパー業態の店舗の多くは現在この屋号を冠しています。

ちなみに、株式会社ダイエーも、イオンリテール株式会社も、イオン株式会社(持ち株会社)の子会社で、ダイエーとイオンリテールは兄弟の関係にあります。どちらかが上というわけではありません。

ところで、ダイエーいちかわコルトンプラザ店が8月31日に閉店することに伴い、現在ダイエーの2階にある店舗の多くが閉店することがわかっています。以下の画像で、粗い筆跡で恐縮ですが、印をつけた店舗が、ダイエーの閉店と同じ2025年8月31日に、その歴史を終えるのです。残念ですね。

出所:ダイエーいちかわコルトンプラザ店のウェブサイト(モバイル版)。
筆者のスマートフォン画面をキャプチャしたものを加工(2025年8月上旬にキャプチャ)。

以下は、

  • アエナ
  • 北京楼
  • Una casita(おなかすいた)
  • 口福堂
  • カルディコーヒーファーム
  • 日本一
  • tapioca sweets tutu

の閉店情報(ダイエーいちかわコルトンプラザ店の公式ウェブサイトに掲載されている情報)です。

出所:ダイエーいちかわコルトンプラザ店のウェブサイト(PC版)。
筆者のPC画面をキャプチャしたものを加工(2025年8月上旬にキャプチャ)。

現時点(2025年8月18日現在)では、イオンスタイル市川コルトンプラザが開店する日程は明らかになっておらず、開店と同時に新規出店するテナントの名も不明です。上記の店舗が閉店することは大変残念ですが、新たなテナントに期待を寄せながら、続報を待ちたいと思います。

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〈注釈〉

※1:そもそも、プランタンはコルトンプラザ内の1つのテナントだったので、後継であるダイエーをプランタンと呼ぶのであれば、前身の屋号で呼んでいるという誤りで済むわけですが、コルトンプラザ自体をプランタンと呼ぶことは、時間軸だけでなく空間軸についても誤っている――と指摘できます。

※2:イオン株式会社、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス株式会社、株式会社ダイエー、株式会社光洋、マックスバリュ関東株式会社、イオンマーケット株式会社による2025年8月4日のニュースリリース「㈱ダイエー、㈱光洋、マックスバリュ関東㈱、イオンマーケット㈱による 首都圏及び近畿圏におけるエリア戦略推進によるシェアNo.1実現 のための、経営統合の協議開始に向けた基本合意書の締結について」を参考にした筆者の予想です。https://www.daiei.co.jp/corporate/pdf/release/2025/250804.pdf