【コラム】「#モスバーガーゆるーく応援」に見る「バイコット(buycott)」の兆し

3日前の2026年2月19日、ヤフーニュースにこんな記事が掲載されました。
日本の飲食店で店長を目指す──。「特定技能2号」でキャリアアップ目指すベトナム人青年 支援する企業の狙いとは #日本社会と外国人
https://news.yahoo.co.jp/articles/c9e73f61000cc944d5c61013671ef72054dc307c
記事によると、モスバーガーの店舗を展開する株式会社モスフードサービスは、ベトナムの人々がモスバーガー店舗で働くための育成プログラム「ベトナムカゾク」を実施しているということです。
これは、2019年にベトナムのダナンにある短期大学と協力して始めたもので、モスフードサービスによると、日本国内での人材不足解消と、アジア進出時の幹部候補の育成が目的で行われているものです。同社は、ベトナムの人たちを単なる労働力ではなく、仲間として共に成長する家族として迎え入れたいということで、「ベトナムカゾク」という名称の育成プログラムにしたそうです。
素晴らしい取り組みですね。
先日(2025年11月13日)、ヤマト運輸がベトナムのFPTグループと協業して、大型トラックドライバーの育成・採用に取り組むことを発表したのですが、この件から、「人を起点にしたサステナビリティ」について考え、こんなコラムを書きました。
今回のヤフーニュースの記事を受け、モスフードサービスの活動について、私のように素晴らしい取り組みだと感じる人がいる一方で、モスバーガー不買運動をしようと言い出す人々もいるようです。外国人の店員さんが働くお店で買いたくないのでしょうか?こうした人たちの不買運動は、「ボイコット」と呼ばれます。
一方、モスバーガー不買運動に対する反発が、ソーシャルメディア上では目につくようにもなっています。中には、
#モスバーガーゆるーく応援
というハッシュタグを添えて、モスバーガーを応援することを表明する投稿もあります。買うことでその企業を応援し、それをソーシャルメディアに投稿することで支持することを表明する行為は「応援消費」や、「バイコット」とも呼ばれます。
消費者が意思表示を示すために不買運動をする「ボイコット(boycott)」に対して、特定の企業・商品・サービスを積極的に購入することで応援や共感を示すことを、「バイコット(buycott)」と呼びます。「応援消費」と呼ぶこともあります。
市川マーケティング研究所「【コラム】ボイコットとバイコットはSNS時代に大きな影響力を持つ」https://ichikawa-marketing.com/boycott-and-buycott-social-media/
この記事でも触れたように、現状、日本では「ボイコット」や「バイコット」を行う人は、一部の人に限られると思われます。しかし、今、モスバーガーに対する「バイコット」の動きを追って見てみると、同社が、イスラエルを支援していないことや、東京都庁の下で行われている食料品配布に商品を提供していることなど、一貫して、社会で起きている出来事に対して、自らの判断を示してきた企業であることが評価されているようにも感じられます。
モスフードサービスの社会で共に生きる人に対する眼差しが、一方的な支援ということではなく、自らが社会の一員としてどのようにある(ありたい)かを問い続ける姿勢として、多くの人に受け止められているのではないでしょうか。現在、可視化されている同社に対する支持の広がりは、強い政治的主張というよりは、「モスの選択ならば自分は納得できる」という共鳴に近いのかもしれませんね。
モスバーガー。ちょっと高いけれど、めちゃくちゃおいしい。
気軽には手を出せないかもしれません。でも、「買う理由」があれば、積極的に選択しようとする消費者は少なくなはずです。
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普段、様々な企業の活動をウォッチしているのですが、とても素晴らしい取り組みだと感じるケースは少なくありません。ただ、メディアからの取材を受けたりしない限り、率先して、わが社はこんなことをしています、と発信することは、謙虚さゆえか、あまりない気がします。
しかし、企業が、社会の一員としてどのようにありたいと思っているのか、あろうとしているのかを示すことは、誇示ではありません。それは、消費者に対して、あるいは取引先に対して、(人となり、ならぬ)「企業となり」を伝えることと言えます。
「企業となり」というのは鈴木雄高による造語で、以下の記事でも少し触れています。
有隣堂の公式ウェブサイトに掲げられた企業理念を読めば、好感を持つ人はいても、それだけでファンになる人は多くないかもしれません。しかし、「ゆうせか」でマニアックなテーマを熱量高く語るバイヤーの姿や、本音しか口にしないブッコローの次の一言に引き込まれていくうちに、視聴者は自然と有隣堂という企業そのものに惹きつけられていきます。クセが強い、でも、なんだか気になる人とキャラクターを通じて、いわば有隣堂の「企業となり」が伝わってくるのです。
鈴木雄高「有隣堂の『店舗×EC×YouTube戦略』|縮小市場で勝つ理由」(ecAction、公開日:2026年1月20日、閲覧日:2026年2月22日)
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ちなみに、冒頭の画像は、モスバーガーの「オンラインショップ(ライスバーガー専門店)」内の、「モスライスバーガー食べ比べ6種J〈のり弁・焼肉・きんぴら・豚生姜焼き・エビチリ・チーズ焼肉〉」のページから引用したものです。
モスライスバーガー食べ比べ6種J〈のり弁・焼肉・きんぴら・豚生姜焼き・エビチリ・チーズ焼肉〉
https://ec.mos.jp/products/3081229
モスバーガーを買って応援したい。でも、近くにお店がない。そんな人は、同社のオンラインショップ(ECサイト)で注文するのも良いかもしれません。
モス公式オンラインショップ~Life with MOS~
https://ec.mos.jp/
モス ライスバーガー専門店
https://ec.mos.jp/pages/mos-riceburger
