【コラム】企業は社会的な存在である――オストメイト対応トイレの設置を進めるウエルシア薬局

2025年11月下旬のある日。
SNSのXに一枚の写真が投稿されました。
写っていたのは、あるマンションの共用部にあるトイレの設備で、投稿者はその用途がわからないと綴っていました。
この投稿は、24時間がたたないうちに、3,400万回も表示され、1,800以上の「いいね」、1,400以上のリポスト(再投稿)という大きな反応がありました。
投稿者が何であるかわからないと投稿した写真は、オストメイト対応のトイレ、すなわち、人工肛門・人工膀胱の人に対応したトイレでした。
この投稿に対するコメントの中には、「オストメイト対応トイレを知らないのか」と、投稿者を批判するようなものもありましたが、「今はそれがオストメイト対応トイレだと知っているけれど、以前は知らなかった」「オストメイト対応トイレがあるなんて優れたマンションだ」「こういう投稿がバズることで、オストメイト対応トイレを知る人が増えるのは良いこと」といったものも多く見られました。
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私がオストメイト対応トイレと聞いて思い浮かべるのは、ウエルシア薬局です。
腹部にストーマと呼ばれる排泄のための人工開口部を増設した排泄機能に障害がおありになる方々にご利用いただきやすい「オストメイトに配慮したトイレ」の全店設置を目標に、整備をしています。
出所:ウエルシア薬局公式ウェブサイト「多様性(DE&I)への取り組み」(閲覧日:2025年11月26日)
これまでに、何度かウエルシア薬局の経営層のお話をうかがう機会がありましたが、例えば、話の主題が同社の売場づくりマーチャンダイジングであっても、ほぼ毎回、自社が力を入れている取り組みとして、オストメイト対応トイレを全店に設置することを目指していることに触れていました。それだけ、同社にとってオストメイト対応トイレの設置が重要なことなのですね。
7年半まえに書かれた、この記事に、ウエルシア薬局がオストメイト対応トイレを設置することを決めたきっかけが書かれています。素晴らしい記事です。
流通専門誌編集長のマーケットトレンドウォッチング~鳥の目、虫の目、魚の目~
「ウエルシア薬局/オストメイト対応トイレ設置店舗が588店に!」(公開日:2018年04月19日、閲覧日:2025年11月26日)
https://ameblo.jp/2020value-creator/entry-12369581642.html
ちなみに、ウエルシア薬局の公式ウェブサイト内でオストメイト対応トイレの設置について書かれているページのURLは次の通りです。
ウエルシア薬局公式ウェブサイト
「多様性(DE&I)への取り組み」
https://www.welcia-yakkyoku.co.jp/about/diversity
DE&Iは、
- Diversity(ダイバーシティ)=多様性
- Equity(エクイティ)=公正性・公平性
- Inclusion(インクルージョン)=包摂・受容
という意味です。
この「多様性(DE&I)への取り組み」というページには、オストメイト対応トイレ以外にも、同社が重視している様々なことが掲載されています。
「多様性・公平性・包括性(DE&I)」を軸に、社員と顧客の双方が、安心して、快適に過ごせる環境づくりに取り組んでいることが伝わってきます。
このページからは、ウエルシア薬局の以下のような特徴が読み取れます。
- 企業文化と組織風土の形成
- 経営統合や変化への適応を重ねてきたことを背景に、多様性を自然に受容する文化が醸成されている。
- 組織としての柔軟性や、異なる背景・価値観を持つ人々が調和する「新たな人の和」の形成を重視している。
- 顧客への配慮
- オストメイト対応トイレ:人工肛門・ストーマを持つ方でも利用しやすいトイレを全店設置目標で整備。
- AED設置:突然の心肺停止時に備え、店舗・地域の安全を整備。
- インクルーシブ・ショッピング:LGBTQ+の顧客が安心して買い物できる接客を、ワークショップや研修を通じて実施。
- 社員への配慮
- 同性パートナーシップ制度:行政やFamieeの証明書に基づき、結婚に伴う福利厚生を利用可能。
- ユニフォーム男女共通化・自由な身だしなみ:社員が自分らしさを尊重して働ける環境づくり。
- 主体的な店舗改善:社員が働きやすい環境づくりや接客改善に参加する機会を提供。
- 総合的な特徴
- 顧客・社員双方を尊重:身体的制約や性的指向、個性に配慮。
- 制度・環境・教育の三位一体:単に制度を作るだけでなく、設備や研修を通じて実効性を担保。
- 企業の社会的責任:地域住民の安全・安心や、誰もが利用できる環境整備に積極的。
これらから、
「ウエルシアは多様な人々が安心して働き、安心して買い物できる社会的な環境づくりを重視している」
ということが伝わってきます。
社員の個性と働き方を尊重し、顧客の安心と快適な利用を実現するウエルシアの企業文化。
「DE&I」を単なる理念としてではなく、実際の行動に落とし込む姿勢を素朴に実直に伝えているウェブページです。
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たまたま目にした、Xの投稿。それが私にウエルシア薬局の取り組みを思い出させてくれました。
ある人は、かつて、Xに、ウエルシア薬局がオストメイト対応トイレの設置を進めていることを取り上げ、なるべくウエルシア薬局で買い物をするようにしていると投稿していました。その気持ち、とてもよくわかります。
以下のコラムで触れた「バイコット」(買って応援、買うことで共感の姿勢を示す)の一種ですね。
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ちなみに、私は以前に「DE&I」をテーマに、ひとしきり語った(ひとり喋りをした)ことがあります。生配信した時の映像がアーカイヴされていますので、よろしければ視聴してみてください。
ダイバーシティ&インクルージョン【ほぼ週刊流研ニュース】 2023年4月20日(木)
https://www.youtube.com/watch?v=TjKVsIzSTZU
