【コラム】アンケートの精度を左右する言葉のチョイス――回答者を迷わせない調査設計

アンケート用紙やアンケート画面は、作成者の聞きたいことで埋め尽くされています。しかし、回答者が設問を目にした瞬間に、どう答えていいか分からないと感じた場合、いい加減な回答をしたり、途中で回答をやめてしまう可能性が高まります。

先日、公共交通ニーズ調査を支援している企業から、調査票の点検を依頼されました。そこで私が行ったのは、専門用語の羅列を整理し、住民の皆さんの生活実態に即した選択肢へと組み替える作業でした。

定義が曖昧な言葉や雑な表現は、回答がぶれる原因となり、調査の精度を低下させます。たとえば、家庭で使う乗り物という表現は、自家用車だけを指すのか、カーシェアなども含むのか判断が分かれます。

そこで、ご自宅で所有しており、ご自身が利用する乗り物と定義を明確にしました。また、レジャー・娯楽といった大まかな項目には、観光、スポーツ、外食といった具体例を添えました。こうした小さな補足によって、回答者を迷わせることなく、スムーズな回答に導けます。

また、調査において、「あてはまるものはない」や、「その他」という選択肢を設ける事は極めて重要です。これらの選択肢は、データの純度を守るためのフィルターとして働きます。これらを設けることで、たとえば公共交通に対するニーズを尋ねる調査であれば、日々の移動に本当に困っている人の声だけを抽出できるようになります。

調査票は、アンケート用紙や画面を前にする、じっくりと思い出しながら回答しようとする高齢者や、隙間時間にスマホ画面でサクサクと回答したい若年者のことを考え、ストレスなく、迷わずに回答してもらえるよう、細かな部分まで注意を払って作成することが欠かせません。

調査をする側の立場では、結果をそれ単体で用いるのか、過去調査と比較するのか、あるいは他の情報と組み合わせて示唆を得るのか。聴取事項は、回答結果の活用場面を想定して設計することが求められます。たとえば、年齢区分は10歳刻みとする場合が多いですが、65歳から74歳の前期高齢者、75歳以上の後期高齢者という括りを作れるように5歳刻みで設定しておくと、調査結果を政府統計と照らし合わせ、より深い分析が可能になります。

このように、何のために行う調査なのか、出口を常に逆算して設計する必要があります。

市川マーケティング研究所は、こうした目に見えない違和感を取り除き、進むべき道を言葉で整える存在であり続けたいと考えています。


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